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斜面上に7本(または5本)設置し、汀線付近に容量式波高計を改造して作った遡上計も設置した。
造波開始約2分後からサンプリング間隔0.1sで2048個の水位データを収録した。この波形記録には少なくとも100波のゼロ・クロス波が含まれている。なお、本研究においては、個々の波をゼロダウンクロス法によって定義した。
3. 三の形状の変化
水深が浅くなると、波の峯が高く短くなる「立ち上がり」と、峯が前のめりになる「前傾」の2種類の変形が起きる。
3−1. 立ち上がり
峯の立ち上がりは、峯幅比(T1+T2)/Tおよび峯高波高比η/Hによって表すことができる(T1、T2、t、η、Hの定義は図-2に示す)。峯幅比(T1+T2)/Tは峯が波全体に占める割合を水平方向(時間的)で評価した値であり、峯高波高比η/Hは鉛直方向で評価した値である。不規則波では個々の波によってこれらの値は異なるが、平均値でみると微小振幅波理論にしたがうときには1/2であり、浅水変形を受けると平均峯幅比(T1+T2)/Tは1/2よりも小さくなり、平均峯高波高比η/Hは1/2よりも大きくなる。
図-3は平均峯幅比(T1+T2)/T、図-4は平均峯高波高比η/Hの相対水深h/H0’による変化を示したものである。峯の立ち上がりは相対水深が4以下になると始まるが、海底勾配が急になるほど立ち上がりは小さくなっている。水平方向(平均峯幅比)でも鉛直方向(平均峯高波高比)でも同じような変化を示している。なお、何れの海底勾配においても、沖波の波形勾H0'/L0か小さいほど峯の立ち上がりは顕著である。

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Fig.2 Definition of Wave Profile Parameter

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Fig.3 Relation between h/H0 and (T1+T2)/T

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Fig.4 Relation between h/H0 and η/H

3−2.前傾
峯の前傾は次式に示す前傾比T1/T2によって表すことができる。微小振幅波理論にしたがうときにはT1=T2であるので平均前傾比T1/T2は1であり、前傾すると1より小さくなる。
図-5は平均前傾比T1/T2の相対水深h/H0'による変化を示したものである。峯の前傾も相対水深か3以下になると始まり、立ち上がりとともに進行する。しかし、前傾には海底勾配による明確な差はない。

 

 

 

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